去る6月15日に”日本食に合うワインがコンセプトのNORIAの中村倫久氏にお願いして弊社のスタッフ向けにウェビナーを開催致しました。

NORIAの最新情報と併せてレポートします。

NORIAの新しいキュヴェである、ピノ・ノワール ウミノ・ヴィンヤード ラシアン・リヴァー・ヴァレーの導入に伴い、ブロッソ―・ヴィンヤード シャローン、サンジャコモ・ヴィンヤード ソノマ・コーストと3種のピノ・ノワールを試飲しながら、ウミノを中心にそれぞれの特徴を講義して頂く・・・という趣旨です。

いつも忙しくしてらっしゃる中村さん。しかし、今はいつもにも増してすご~く、すご~く忙しいのです。
なぜならば、もうすぐ中村さんご自身のワイナリーが完成間近!なんです。

そこで、本日は何はともあれオープン間近なワイナリーのお話しからお伺いしました。

中村さんは、まさにそのワイナリーからzoomに繋いでのセミナーです。

場所はバークレーの中のギルマン・ディストリクト / Gilman Districtと呼ばれる市が開発に力を入れているエリア。

Urban Wineryと呼ばれる業態で、バークレーには10年前にはワイナリーは2件しかなかったが、現在10件まで増えたそうです。そのうち6件が、中村さんのセラーから2ブロック以内に集中しているとのこと。また2つのクラフト・ビール ブルワリーもあり更に今秋に新たなブルワリーがもう1軒オープン予定。周辺には新規にオープンするレストランなども多くフードとお酒で今注目のエリアだそうです。

中村さんは近所に長く住んでいたこともありなじみのある場所だったこと。加えて、空港から車で20分ほど、高速を出てすぐのところにある。そのまま、ハイウェイ 80をまっすぐ行けばナパ・ヴァレーというナパの往き返りに立ち寄れる、ゲストが訪問しやすい場所であることから、この場所を選んだそうです。

中村さんは月~木までワイン造りを行い金土日はこちらのセラー・ドアーで接客もします。最初は中村さんのビジネス・パートナーとお二人で運営するそうです。
「ワインショップで接客をしたことないし、レジもしたことないので、最初は大変だと思うのですが」とドキドキの様子 笑

ワイナリーが完成した暁には、発酵から熟成まで全部このセラーで行います。葡萄が持ち込まれたら、ワイナリーの外で選果、白はプレスし、赤は一部除梗してから、ワイナリーの中で醗酵、熟成。

ワイナリーには180樽くらい設置することが可能だそうです。ボトリングは移動式のボトリング・トラックでボトリング。

ここ2~3年くらい1,500ケースほどの生産量でしたが、この新しいワイナリーの設備的には3,000ケース分製造できるそうです。
このワイナリーを造ったのはお客さんに来てもらってワインを購入してもらうのが目的なので、ここで販売する分を増産したいそう。現在5種類のワインを造っているが、セラードアのみの販売の小ロットのキュヴェなど合計10種類ほどに増やす予定です。

既にソノマの北のロックパイルからカベルネ・ソーヴィニヨンとシラーを去年から造り始めて2025年にリリース予定とのことですよ。これはノリアの「日本食に合うワイン」というコンセプトから外れるので、新しいブランド名でリリースします。

「日本食に合うワイン」ということで、日本人のシェフと組んでフード・トラックでお弁当を販売したり・・・と色々と構想があるようです。(免許的にワイナリーでは食事を作って販売することが許可されていない)

新ワイナリー楽しみですね!今すぐ行きたい!!
皆さんも是非お立ち寄りくださいね。

▼ 最新情報はNORIAのFBをご覧ください。
https://www.facebook.com/noriawines

さて、それでは試飲に入ります。中村さんの3つのピノ・ノワールを比較試飲します。

 

まずは、初リリースのPinot Noir Umino Vineyard Russian Russian River Valley 2021から。

>>>畑の場所はこちらから

こちらは言わば、マイケル・ヴァレンタインの後継キュヴェ。マイケル・ヴァレンタインは2021年に霜にやられてしまい壊滅状態に。中村さんは新たな畑をさがしていました。
中村さんはダックホーン・ポートフォリオのデコイのワインメーカーと情報交換をする中で、ウミノ・ヴィンヤーズと出会いました。ダックホーンはデコイ、マイグレーション、コスタ・ブラウンを持つことからソノマの色々なヴィンヤード・マネージャ―とつながりを持っているそうです。

ウミノは元々日系3世のDave Umino(海野)氏によって開かれた畑だが彼は3~4年前に亡くなり現在は奥様が事業を引き継いで、畑の管理はヴィンヤード・マネージング・カンパニーに委託しているそうです。ちなみに中村さんは契約後に、この畑が日系人である海野さんによって創設された事を知ったそうです。

ウミノはマイケル・ヴァレンタインより内陸に位置し、霧が抜けないマイケル・ヴァレンタインに比べると少し暖かい。しかしマイケル・ヴァレンタインは土壌が粘土質なので果実味が若干ヘビー。それに比べるとゴールド・リッジ土壌のウミノは、糖度は高くならないが酸がしっかり残ります。フレッシュな赤いフルーツが良く表現され、果実味が横に長くきれいに広がり、タンニンはきめ細やか。抜栓当初は少し線が細い印象でしたが、時間が経過すると果実味、複雑さなどが現れます。

2021年はウミノのファースト・ヴィンテージなので生産量を少なくしてスモール・スタートしましたが、2022年は2021年よりも少し生産量が増えています。

さてお次はPinot Noir Sangiacomo Vineyard Sonoma Coast 2021

>>>畑の場所はこちらから

中村さんはNoriaをたちあげた当初、2010年から12年このSangiacomo Vineyard リリースしています。

サンジャコモについて「酸がきりっとして果実の印象が強い。」とのこと

2021年ヴィンテージは非常に乾燥した年。 しかし熱波もなくゆっくり成熟できた。Sangiacomo は気温が高くなっても葡萄樹が疲れないそうです。それだけ仕立ての仕方や管理が行き届いているそう。Uminoより10日~2週間早い収穫となるそうです。

さて、最後はPinot Noir Brosseau Vineyard Chalone 2020

>>>畑の場所はこちらから

こちらもこの2020年が初ヴィンテージ。モントレー・カウンティのシャローンというAVAからです。
カレラのマウント・ハーランの自社畑からから30キロほど南、標高500メートほどの山の上「現実離れした別世界のような」ところに位置する畑です。お隣はシャローン・ヴィンヤード。

面積は170ha、土壌はカリフォルニアでは非常に珍しい花崗岩土壌に石灰岩が混じります。

Brosseau は果実が小さく、ミネラル感やスパイシーなタンニンが感じられます。Savigny-les-Beauneというのがピッタリ。テイスティングで「熟成感も出始めていて、マッシュルームみたいなニュアンスもありますよね。」とコメントすると「そうそう、マッシュルームがすごく合うんです。」とのこと。醸造方法はソノマのピノ・ノワールと一緒です。

「5年間の瓶熟成で間違いなく良くなるし、10年くらいは熟成のポテンシャルがある。」リリースしたては早めの抜栓がおすすめです。中村さんが日本に行く前に抜栓して2週間ほどして帰って来て飲んだら美味しくなっていた、というくらい。

他のキュヴェに対して1年遅れのヴィンテージが販売されることになるのでそれくらいがちょうどいい。とも仰っていました。
*他のピノ・ノワールは2020年煙害で収穫できなかったが、Brosseauは標高が高く霧の影響を受けないので収穫が早く、火事が起こったときに収穫の準備が整っていたため2020年収穫できた。そして2021年ヴィンテージはもう少しジューシーでわかりやすいワインとのことでした。

そして、実は2022年からサンタ・クルーズ・マウンテンでもう一つのピノ・ノワールを買い付けているそうです。こちらは2024年夏ごろにリリース予定。
Muns Vineyards というサンアンドレス断層が落ち込んだ中にある畑です。
はじけるような果実味とタンニンが特徴だそうです。サンタ・クルーズ・マウンテンは気温が上がるので収穫のタイミングが重要。またタンニンが強くなりやすいので、抽出も気を遣います。やはりファースト・ヴィンテージは難しいようですが、その経験値を生かして次の年につなげていきます。2022年ヴィンテージは初年度にしてはうまくいっているとのこと。

リリースが楽しみです。

中村さんの畑の収穫の順番としてはBrosseau > Muns > Sangiacomo > Uminoという順番だそうです。

今後白を増やす予定はありますか?という質問には、「現状ではピノ・ノワールが4キュヴェになり赤に傾いてしまっているので、白を増やさなければいけないと思っている。」
ということはBrossesauからシャルドネをリリースする可能性も??との質問には「その気持ちはある。」

お~!白の新キュヴェの登場も期待が高まりますね。

中村さんの話を伺っていると、常に未来に向けて走り続けているような印象。聞いているだけでわくわくします。

1時間と短い時間ながら、実り多い凝縮したセミナーとなりました。中村さんありがとうございました!