ウィラメットヴァレーワイン

7月17日付のEU連合農業委員会による発表があり、ウィラメット・ヴァレーはアメリカで2番目の地理的表示保護(Protected Geographical Indication: PGI) 地区として認定、登録されました!ちなみに、1番目はナパ・ヴァレーです。

 

「PGI」はEUでの地理的表示(GI)保護制度です。
その土地と結びついた高品質な農産物や食品の名称を保護する制度であり、欧州各国には、特にワインにおいて独自のGI制度が早くから存在しましたが、1992年にEU規則が制定され、EU加盟国に共通の制度となりました。今日では、農産品及び食品、ワイン、蒸留酒、アロマタイズドワインの4つのカテゴリにそれぞれEU規則が定められているそうです。

つまり、シャンパーニュ地方で造られていないスパークリングワインのラベルに「〇〇シャンパン」とか、シャブリ産ではないのに「〇〇シャブリ」と名乗ることで、本来の「シャンパン」や「シャブリ」が持つ“高品質”“美味しい”というブランドイメージが傷付けられたり、消費者が「これシャンパンなのに安い!」と本物と混同して購入してしまうのを防ぐための規制です。

例え話でとても安っぽい感じになってしまいましたが、ワインというその土地に深く根差した農産物に関してこれはとても重要な制度です。ちなみに上記のような偽の産地呼称のラベルが貼られているワインをEU内に輸入しようとした場合、EUの税関で没収&廃棄されます。

オレゴンワインボードからの発表によると

「世界的なブランディングと品質管理の仕組みです。認知度の高い地名などを用いた農産品、スピリットやワインなどの酒類などを守り、産品の原産地およびその土地に伝わる生産手法などを保護し、特徴を周知する目的があり、シャンパーニュ、バローロなどがよく知られる例です。」

『EUでは、PGI認定のためにユニークな地理的条件や、高品質な産品を生産するための管理などにおいて厳格な基準を設けており、ウィラメット・ヴァレーが大西洋を越えこの認定を受けたことは、大躍進といえるでしょう。
この発表は、ウィラメット・ヴァレーが世界的にも認められるワイン産地であるという意味を持ち、この地区で長年に亘り高品質なワイン造りに尽力してきた生産者らにとっては大変喜ばしい知らせです。発表によると、「ウィラメット・ヴァレー産のワインの魅力は、冷涼な気候によってもたらされる際立つ酸味と、鮮度の高いフルーティーなフレーバーが特徴。高い緯度という地理条件、太平洋からの冷たい風と雨蔭効果、さらに傾斜地に開拓された農地、これら諸条件に恵まれ、ユニークなスタイルの北アメリカのワインを生み出すことに成功した」と称えられています。』
と嬉しさが伝わってくる発表です。

それも、そのはず。

ウィラメット・ヴァレーがPGIに指定されるまでには、約20年の歳月がかかったそうです。
チェヘイラムや、RRワイナリー、リッジクレスト・ヴィンヤーズのオーナーである、ハリー・ピーターソン=ネドリー氏↓↓↓
をリーダーとして「ウィラメット・ヴァレー」という、ワイン生産地として特別な土地の呼称を守るべく活動してきたそうです。

2009年にはDeclaration to Protect Wine Place & Origin(ワイン産地保護宣言)に参加し、世界の他の産地、シャンパーニュ、リオハ、キャンティ・クラシコ、バロッサなどの産地とワインの地名が保護され、悪用されて消費者に誤って伝えられたりしないよう、共闘してきました。

この団体は「Wine Origins Alliance」へと発展し、現在では11カ国、31のワイナリーやブドウ栽培団体が加盟しています。
その結果、ナパヴァレーは2007年にPGIを取得し、その後、他のワイン・オリジン・アライアンスのメンバーからの働きかけもあり、ウィラメット・ヴァレーもPGIを取得となったそうです。

ネドリー氏は「AVAや州法による保護に加えて、PGIは私たちの志の高さを認識してもらうのに最適だと思いました」と言います。ウィラメット・ヴァレーの開拓者であるCharles Coury 、David Lett、Dick Erath、Dick Ponziなどに対して敬意を表しています。

「ウィラメット・ヴァレーは、葡萄、特にピノ・ノワールのような繊細な品種を栽培するのに特別な場所です。創業者たちが最初に求めたのは、ビジネス環境でもなく、住みやすい場所でもなく、温暖な気候で便利な場所でもなく、エレガントで熟成可能なワインを生み出す繊細なブドウにとって、あらゆる意味で完璧な場所だったのです。」
と「ウィラメット・ヴァレー」の呼称に対しての誇りを語っています。