Decanter誌のChris Mercer氏によるウィル・ハーランのインタビューを抜粋してご紹介します。
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ビル・ハーランは先日、息子のウィルがハーラン・ファミリーのマネージング・ディレクターに就任し、ハーラン・エステート、ボンド、プロモントリー、ザ・マスコットを統括することを発表した。

またコーリー・エンプティングも、栽培管理から醸造に至る全ての工程を管理するワイングローイングのマネージング・ディレクターに就任した。ハーラン・グループは着々と世代交代をしつつある。

ただし、長年のディレクターであるドン・ウィーヴァーやエステート・ワインメーカーであるボブ・レヴィも引き続きウィルとコーリーのサポートを続ける。

今回の世代交代は「200年計画」の中でも大きな節目となる。
しかしこの過程は入念に計画されたものだった。

ビル・ハーラン(現会長):「10年前から、(娘のアマンダを含む)チームを結成し次の40年間の方針を話し合って来ました。

ウィル・ハーラン(以降ウィル):「私たちは、かなり前から計画していました。ですから、私は非常にしっかりとした長期計画に基づいて指揮をとっていくことになります。」
故に彼の在任期間は革命ではなく、「継続的な進化」となると付け加えた。

【我々にとっての成長とは今持っているものを深めていくこと】
ウィル:「我々にとって成長とは今持っているもの ~ファミリーにとって強力な基盤となっているハーラン・エステート、ボンド、プロモントリーという3つの柱~ を深めていくことです。
私の在任期間は、積極的に新たな土地を手に入れてワインの生産量を増やすのではなく、今持っているものをさらに高いレベルにひきあげることに集中します。」

「ただ、これまでに築いてきたものに匹敵する、あるいはそれ以上の可能性がある鍵となる土地は探しています。Bondには現在5つの ‘クリュ’ がありますが、6つ目の ‘ クリュ’を常に探しています。ナパ・ヴァレーにはもっと大きな可能性があると信じているので、ナパ以外のところで畑を購入することは、今のところ考えていません。ですからやはり私にとってのキーワードは ‘集中’です。」

ハーラン・エステートの畑

【ナパ・ヴァレーの将来はとても明るいと思っている】
’パリスの審判’から45年が経過したが、ナパは高級ワイン市場の中ではまだ比較的若い部類に入る。また、ここ数年、ワイナリーや葡萄畑への投資が盛んにおこなわれている。

ウィル:「私たちはまだナパの可能性の端緒を知るに過ぎず、今この地域と土地を本当に理解しはじめたところだと思います。
また一般的にも、葡萄畑のある土地独特の地域性に人々が注目するようになり、テロワールを反映したワインが増えています。

今がナパにとって非常にエキサイティングな時期だと思います。

ハーラン・ファミリーでも、コーリー・エンプティングと彼のチームが私たちの土地をより深いレベルで理解するために取り組んでいます。そして我々はもっと、もっとテロワールを純粋にワインに反映させるよう努力をしています。」

【ハーラングループを継ぐということ】
ウィルは当初からワインビジネスを継ぐと決めていたわけではなかったが、ハーラン・ファミリーを率いる機会を得たことに感謝しており将来をとても楽しみにしていると語る。

ウィル:「父は、私が自然にビジネスを理解するよう導いてくれていました。私が5歳くらいになるとミーティングに同伴し、プロセスを間近で見せてくれました。父には何世代にもわたって存続するものを造りたいというビジョンがあるのです。」

二人は今でも定期的にビジネスについて話し合っており、それは今後も続くだろう。

「父は完全に退任することはないでしょう。少し後方に下がりますが、これからも深く関わってもらえるでしょうし、父の経験を生かせることは私にとって幸運なことです。」

またウィルはハーラン・エステートの長年のディレクターであるドン・ヴィーヴァーや、もともとのワインメーカーであるボブ・レヴィの助言を得られることも、新体制のチームにとって幸運なことだと付け加えた。

2021年4月26日掲載