Wine Spectator ビル・ハーランの百年ヴィジョン
Wine Spectator Online Newsでハーラン・グループのビル・ハーランに関するニュースが二つ掲載されました。
4月9日付「ビル・ハーランが息子のウィルをマネージング・ダイレクターに任命」
4月21日付、「ビル・ハーラン 100年ヴィジョン」ロングインタビュー
先日、ビル・ハーランは息子のウィル・ハーランにワイナリーの運営を譲り、自身は会長に就任すると発表しました。
ウィル・ハーランはハーラン・エステートとボンドの経営を引き継ぎ、これまで責任者を務めていたプロモントリー、ザ・マスコットの監督も引き続き行います。
Wine Spectatorはこれを「ナパ・ヴァレーのワイン産業の歴史にとって重要な出来事」と述べていますが、これは過去40年以上にわたるビル・ハーランの活躍がナパ・ヴァレーの急速に発展した時期に重なるからです。
近年、ナパ・ヴァレーは破滅的な山火事の増加やコロナ禍でのワイン業界の経営など新たな難しい問題に直面する現状に
「ビル・ハーランはナパ・ヴァレーで最も著名なワイン生産者、またデベロッパーとして過去を振り返り将来を見据える唯一無二な立場にいる」
としてジェームズ・モレスワース記者によるビル・ハーランのインタビューをWine Spectator 4月21日付で掲載しました。
ハーランのみならずナパ・ヴァレーのワイン産業にも言及した、過去、現在、そしてこれからの100年のヴィジョンを語る壮大なインタビュー記事から抜粋して概要をご紹介致します。
コロナ禍でのワイン業界について
「この100年を振り返ると、19世紀末にフィロキセラ被害、サンフランシスコ大地震、戦争、世界大恐慌、リーマンショックといった厳しい時代を乗り越えてきました。
ナパには、回復力があり、今回もきっとのりこえられるでしょう。2022年から2025年にかけての直近の未来を考えると、ナパは大きなルネッサンスを迎えることになると思います。」
山火事について
「地球温暖化を理解し、それが山火事や葡萄栽培にどのような影響を及ぼすのかを理解する必要があります。森林の管理についても、これまでとは違ったアプローチが必要です。去年の山火事で大きな被害を受けたメドウッド・リゾートの再建は行政と協力しながら対策を進めています。」
200年計画について
「私たちは、自らの土地に対してもっと理解と経験が必要です。次の世代、さらにその次の世代にならないと、満足できる理解レベルには到達しません。それが、200年計画です。100年前を振り返り、100年先を見る。山あり谷ありの100年が未来にはある。その計画には年に全体の2パーセントずつ植え替えするプログラムも含んでいます。30年に一度、全体を植え替えるようなことはできません。時間と継続性が大切なのです。」
今回ワイナリーの運営を譲ったことに関して
「私はいつも、80歳になったら手綱を放す時だと言っていました。
私が結婚したのは45歳なので、子供たちはまだ30代。彼らともっと一緒にいたい、与えられる情報は与えたいと思いつつ、私から与えるだけでなく、彼らが自分で学べるようにしてあげたいと考え、この10年息子のウィルと娘のアマンダと一緒に働いています。
ハーランの変換期に長く立ち会いたいと思っていますが、永遠に生きられるわけではないので、子供たちが家業に興味をもって、進んで必要なことを学んでくれていることに幸せを感じています。」
「また、ドン・ウィーバーが35年間エステート・マネージャーを務め、ボブ・レヴィが設立当初からワインメーカーを務めてくれていることは得難いことであると感謝しています。その間、3人で20年間にわたって若いワインメーカーチームを育ててきました。このような継続性と知識と経験を引き継ぐことができることは、とても刺激的で心躍ることだと思っています。」
「ワイン造りはつまるところ、素晴らしい土地を見極めて手に入れることが重要です。
最高品質、格付け特級に比肩することを目指すという共通のヴィジョンを持ったチームを招集し、
その中で家族のような長い時間を共有することで一つの文化を育む。
創り上げられた文化は素晴らしい土地と同様の力強さをワインに与えることができるからです。
そして、長く顧客に支持され愛される高品質のワインを生産すること、それが世代に亘るアプローチの目指すところです。」